震災遺構としての価値

トレンチ

トレンチとは堀、外堀、塹壕、といった意味の英語。

地質調査の際に遺跡周りを掘ったり、雨水を濾過浸透させるために掘ったりします。

 

○布田川断層帯の本線上にある平田地区には、地震研究において、重要な場所であり貴重な熊本地震の記録が残されています。

 

広島大学、熊本大学の調査・協力により、トレンチはぎ取り標本(活断層の通過地点の地下壁面標本)を被災した地域で所有することが出来ました。トレンチからは、数万年までさかのぼって、断層地震の履歴となる痕跡が多く発見されました。

 

トレンチ壁面には礫・シルト互層、シルト層が露出しています。

4本の断層が見られ、F3断層(今回の地震)は地表の亀裂につながっています。

 

 

熊本地震の地表地震断層と余震の分布

○地域は、国の天然記念物に指定された、谷川、堂園、杉堂を結ぶ布田川断層帯の線上にあり、谷川と堂園のちょうど中間点にあります。平田地区から、地表地震断層の連続性や、断層によって形成された土地の成り立ちを観察することが出来ます。

 

布田川断層調査の概要 (2019年9月)

大学による地震学術調査を地震の記憶と防災に活かす地域の取り組み

トレンチ西壁面剥ぎ取り作業

                   

ハンドオーガー地質分布調査 (2019年8月)

 

トレンチ掘削地点の平面図

 

トレンチ掘削地点では、右横ずれ変位をもつ地表地震断層に見られる、左雁行(右横ずれの場合に生じる雁が飛ぶときの配列亀裂)する地表地震断層の出現が観られました。

地層の3次元構造を把握するためにトレンチに加え、ハンドオーガーを用いて地層を採取して、より立体的に土地の変位を調査しています。

※ハンドオーガーとは、地中をドリルで穴を開け、土石のサンプルを回収し、これまでの地震断層の変位量を測定するものです。

 

写真提供及び協力者 

・ 広島大学  熊原健博 

                    岩佐佳哉 

・熊本大学    島井真之 

・熊本博物館 南部靖幸

 

熊本地震の断層変位が詳しく分かる布田川断層の震災遺構

○平田中公民館を中心として半径100メートル以内に7カ所にわたる、手つかずの震災遺構が存在しています。

震災遺構は、7ヶ所を残すことが出来ています。 

 

 

①トレンチのはぎ取り

②断層によって引き裂かれた福島の滝桜

断層変位が見える露頭

④消防小屋

⑤谷川の屈曲

⑥壊れなかった公民館

⑦折れ曲がった栗畑のフェンス

 

それぞれの遺構は、地震のエネルギー、大地の動き、地震の揺れ方、大地震の履歴、地震災害など幅広く学ぶことが出来ます。それぞれの場所が、ストーリーを持っていて、地震を実感することが出来る貴重な資料が残っています。

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